同僚への悪口が止まらないトラブル社員への対処法
今回の解決事例は、大型飲食店30代の男性店長を困らせる大泣きパフォーマンス、40代主婦バイトCさんの場合です。
Cさんは、仕事自体は問題なくできます。
しかし、店長とバックヤードで2人きりの時に、相談しては大泣きパフォーマンスを繰り返していました。
相談内容は、同僚の悪口です。
誰々がこんな酷いことをしたとか、私がこんなにやっているのに他の人はやってくれない、などなど。
どれだけ自分が頑張っていて、他の人がダメなのか、を言いたいのです。
そして、最後はお決まりの大泣きコース。
実は、このようなパフォーマンス型のトラブルメーカーはわかりやすいので解決もシンプルです。 とは言え、年下の店長、すっかり困ってしまいました。
コンサルティング実施
さて人の行動には必ずその裏に、その人なりの「理由」があります。
その理由がわからない限り、解決方法はわかりません。
私はCさんに「頑張っているスタッフさんが困っている、その解決のために来ました!」という形でCさんとの面談をスタートさせました。
Cさんに問題があるから来たのではなくて、Cさんの困りごとを一緒に解決しますよという体です。
この入り方が、まず大事なんですよ。
さて、面談開始後から、同僚の悪口や愚痴が止まらないCさん。
そして私に対しても泣き出して訴え始めました。
まずは、気がすむまで訴えを吐き出させることにしました。
そして泣き止むのを待ち、 感情が落ち着いたところで、淡々と聞いた話を整理しました。
「誰々がこう言う状態なのですね?」 と、聞いたことを一つ一つ確認します。
その確認の時にも、感情に訴えようとするCさんですが、その感情が収まるのを、その都度待ち、話の全ての確認を終えました。
一つ一つ、話を確認したことで、Cさんは、話の内容が伝わっているという満足感と、尊重されている感覚を得ることができたようです。
しかし、感情の理解は不十分だという不満は残っています。
Cさんが、自分を尊重してくれる人だという安心感を十分に得られたところで。
「全ての感情には必ず理由があります。私は、Cさんの感情を100%大切にしたいのです。だからCさんの感情について一緒に見ていってもいいですか?」
と同意を求めました。
今まで、十分に話を聞くというプロセスは、この感情を掘り下げることに、たどり着くためでした。
ですから常に、安心感や信頼関係を築くことに丁寧に取り組みます。
同意を得て、Cさんの怒りや悲しみなどの『マイナス感情』について、 一つ一つ言語化し掘り下げていきました。
面談を重ね、時間をかけた対話の中で。
Cさん自身の深い『欲求』が言語化でき、 Cさん自身が意識化できました。
Cさん自身の肚にストンと落ちなけれは”意味か”ありませんので、自身の欲求(無意識の理由)の意識化はその第1歩です。
無意識の理由
- もっとちゃんと尊重されたい。
- 自分を高く評価してほしい。
この欲求を満たしたいから、人を悪くしても自分を認めてほしかったのです。
そして。
そのための手段はたくさんあるにもかかわらず、トラブルメーカーという手段を使う事にも、Cさんなりの理由があります。
職場とは関係のない夫との関係や、自身の親との関係の中にヒントが隠されていました。
子どもの頃に満たされるべき、でも満たされなかった欲求を満たすために、一生懸命になっていただけでした。
夫や親との関係を正直に話してくれたことで、Cさんは自分の深い欲求を言語化することができました。
深い欲求を言語化し、それを満たす方法、自分も周りも気持ちがいい方法を一緒に考えました。
自分自身との関係が大事
週1回の面談を始めて3ヵ月ほどで、Cさんは、人を悪く言ったり、人を下げたりしなくても、自分には価値があり、それを認めてくれているということを何度も実感したそうです。
自分自身と、気持ちの良い関係を築くことで、人とも同じように良い関係を築くことができます。
実は「認めてほしい!」と人に対して訴えていたCさんですが。
本当は自分が自分を認めていなかったのです。
しかし、その部分が無意識だったので、一生懸命に「認めて認めて〜」 と外に向かってパフォーマンスをしていたのでした。
感情を100%尊重した対話を通じて、自分自身とつながることができたというCさん。
同僚や上司とも、気持ちの良いコミュニケーションをとることができるようになりました。
また、店長自身も今回の具体的な事例を通じて学んだそうです。
愚痴を聞いてなだめて仕事をしてもらう、という今までの対処療法的なスタンスから、相手を尊重して解決するスタンスに変わりました。
同僚を悪く言う・誰かを落として自分を上げる、そういう人は、自信がなく不安が強いのです。
それを解決するためには、まず今のままで自分には価値があること、今の環境 で安心を感じることが必須です。
まとめ
今回のケースで大事なことは2 点あります。
- どんな行動にも、必ずその人なりの理由がある。
- マイナス感情奥にある本当の欲求を言語化する。
この2点を知ることが解決の手がかりになるということを、少しでも多くの人に学んで欲しいと、このような現場に入るたびに実感します。
表面に出ていることを対処しようとすると複雑に見えることでも、本質的に関わればシンプルなのです。
私は、人を教育する立場の人やリーダーに、このような本質的な視点を持つことを、伝えていきたいと思っています。
次回は、ちょっと手強いサイレントトラブルメーカーの事例をお伝えします。
うちの会社にもトラブルメーカーいるかも?と思ったら、お気軽にご相談くださいませ!