ゆとり社員を会社の戦力に育てる3つの教育方法

教育・育成

ゆとり世代の新人にストレスを抱えている方は、非常に多いように感じています。

例えば「常識がなさすぎる!」「そんな当たり前のことを説明しないとわからないのか!」「いつまで学生気分なんだ!」「やる気がないのか?」「してもらって当たり前?」などなど。

しかし、ゆとり世代が生み出したのは社会背景と、我々大人たちです。ストレスを感じることは理解できますが、お互いのために、社会や企業のためにも、しっかり対応して育てていかないといけません。

この記事では、ゆとり世代の特徴と、そんなゆとり世代をどう教育したら『戦力になる人材』に育つか?を解説します。

ゆとり世代の主な5つの特徴

ゆとり世代とひとくくりにするのは、私は違和感を感じます。同じ世代でも我々世代以上に泥臭く努力し闘争心や向上心がある人もいるし、我々世代にも、ゆとり世代以上に自己中心的で努力の概念が理解できない人もいるからです。

なので、ここでいう『ゆとり世代』とは、世代の人全員という意味合いではなく、ゆとり教育で育った世代の新人の中で『ゆとり世代だ』と呼ばれている特徴を持つ人たちに限定しています。

また、これらの特徴は、ゆとり世代の若者が悪いのではなく、そういう感覚で育ててきた社会や親の責任だと私は感じています。

もちろん、これを読んでいる方々は『自身の子どもたち』は自立した若者に育てたかもしれませんが、やはり社会という大きな視点で見ると【ゆとり世代の特徴を理解し、社会に役立つ自立した人間に育てること】は、我々の役割なのだと思います。

ゆとり世代の主な特徴を5つ挙げます。

①自分視点のみ、自己中心的思考

本人としては精一杯、気を使っているつもりなのですが、他者視点がないため気を使うポイントがズレていて空回りしたり、他の世代からは、自己中心的と見られがちです。

どの世代にも言える事ですが若いうちはまだ視野が狭く、自分の世界で物事を捉えがちです。ゆとり世代はそれがさらに顕著に見られます。自分に都合のいいように解釈して、相手も同じ感覚だろうと感じています。

そこに悪気はないため「どうして注意をされているのか?」「どうして相手が気分を害しているのか。」全く理解できません。

自分の言動により相手が気分を害していても「自分としてはこうだ」という自分視点の理由が優先されます。相手の気持ちを理解しようとか、自分以外の視点があるということには気づきません。

例えば、上司が注意をした後に、その上司からすると「何で、そんな言い訳ばかりを言うんだ!」と思える内容しか言えないのは、本人としては「自分視点の理由」を理解してほしいということでいっぱいだからです。

言い訳という概念はありません。逆に「こんな正当な理由が、この上司に、なぜ理解できないのだ?この会社は自分に合っていないな。」と考えるのです。

そして、会社での出来事を、同じ世代の友達に相談するため「自分視点の理由」が正当化されたり強化されて、他者視点に気付きづらい環境にいます。

②自ら考えたり掘り下げたりしない

言われたことを、言われた通りにするのはできますが「なぜこの作業が必要なのか?」「どんな意味があるのか?」「さらに役に立つために何ができるか?」ということは考えません。

指示しなくても当然、このくらいはやって当たり前というくらいの些細な事柄を「どうしてやってないの?」と聞くと「教わってません」「言われてません」と答えます。

「どうしてそれをやるべきなのですか?」と質問して深めたり「次回からは気をつけます」という言葉はなく「言われたことはきっちりやる!」という、本人としては一生懸命に真面目に取り組んでいるのです。

③些細なことでも失敗を極度に嫌う

ゆとり世代は「体で覚えろ」「体験から学べ」という概念はありません。分かりやすいテキストやマニュアルがあって、それに沿って、分かりやすく指導して身につくものだと思っています。自分が理解できないことは「教え方の問題だ」と考えます。

そして『努力し苦労し何度も失敗して身につけたことが、結果的に自分の本当の実力になっていくこと』を理解できません。そのような体験をせずに育ってきているからです。

また叱られるという体験がないことと、失敗しないように用意された中で育ってきているので、極度に叱られることを嫌います。

電話で言い間違えるなどの、失敗やミスとは言えない些細なことも完璧にやろうとします。それらは失敗ではなく、その積み重ねにより、慣れたり学んだりする必要なプロセスなのですが、そのプロセスを嫌がり、最初からスマートにいたいのです。

④年長者への敬意の欠如

相手が上司であろうが社長であろうが、友達感覚や身内感覚です。「すごーい。社長さんなんだー。」というような敬意は感じていても、つい身内に話すような言葉使いをしてしまいます。

それは、年長者から学ぶというよりは『年長者が自分に対して何をしてくれるのか?』という感覚だからです。今まで関わった年長者、例えば、親や教師がそのようなスタンスなので、それしか知らないまま社会に出ています。

⑤苦労という概念の基準が極めて低い

習い事や留学など、様々な経験を経てきているのですが、失敗しないように用意されたレールの中での体験なので、その中で経験したことが基準となっています。

本人としては、例えば『海外に留学してこんなに苦労した。』『レベルの高い大学に入るのにすごく努力した。』『いろんな国の人とボランテティア活動を通じて大きな学びを得た。」などと思っていて、それはもちろん、その通りなのですが、それは恵まれた、用意された中での達成感だという感覚はありません。

本人は感じている達成感とそこからの学びは、社会的に見ると極めて低い場合が往々にしてあるので、話を鵜呑みにしてはいけません。

このように、達成感のレベルも低いのですが、同じようにストレス耐久も非常に低いです。達成感のレベルとは苦労とも言い換えられます。

本人にとっては大きな苦難を乗り越えていますが、実際には大した苦難を体験したことがないので、ストレス耐久が低いのは必然です。

さらに「相手は自分に何をしてくれるのか?」という概念と、例えば仕事で注意されると「先輩の教え方が悪い」という概念なので「何もしてくれない」「ちゃんと教えてくれない」というような他責の考え方がさらにストレスを増長させます。

余談ですが、就職の売り手市場も、ゆとりをさらに増長させています。例えば、ある企業で面接支援を行った時に驚いたことがあります。

某エージェントが内定を出した学生に対して、企業からお手紙を書いて欲しいというのです。見本を見せていただきました。

内容は『企業では、内定した学生に対して、こんなキャリアビジョンを考えていて、そのために、こんな教育制度があります。』とまるでプレゼン資料のような内容です。

これでは、お金を払って学ぶのが学校、お金をもらって教育もしてくれるのが会社だと勘違いしてしまうでしょう。

ゆとり世代、3つの教育方法

上記のようなゆとり世代に対して、上司が自分たちがされてきた教育(例えば、厳しく教えることや、やって見せやらせてみればできるだろう、など)を実践して、効果がないから「ゆとりは困る!」という心理になっている方が多いのですが。

そもそも育った環境もプロセスも、そして『あり方(心構え)』という根本が違うので、同じ方法では効果がないどころか、逆効果です。

では、どうしたらいいのでしょうか?

①判断軸を徹底して教育する。

ゆとり世代の大きな特徴として「自分視点での判断軸が全て。それは誰に対しても正当化される。」という感覚を持っています。

まずは自分の判断基準より優先される「職場のルール」「社会のルール』が存在することを理解しないといけません。しかし、それを言葉で説明しても理解できません。

職場や業界のルールや慣習があり、明文化されていないものも相当数あります。社会の中で、人とのつながりの中で、仕事をしていくために、まずそのことを理解することが第一歩です。

学生のうちは、社会や親から守られてきたけれど、社会では人とのつながりの中で生きていかなくてはいけない、そのために必要な他者視点です。ゆとり世代の新人には他者視点判断の軸が身につくよう根気強く指導します。

例えば、業務のやり方を細かく指示するのではなく「何を判断軸に行動するか?」を新人が考えられるように教えます。

他者視点と、自ら考える習慣を、業務の中の具体的な行動で訓練を重ねることが大事です。こうした訓練を継続して実施することで、徐々に他者視点を持てるようになりますが、教える方にもスキルと根気が必要です。

②長期計画で一流人材に育てる。

約20年もかけて、ゆとり教育を受けて育った人材ですから、一流の人材に育つのに10年かけるつもりの長期視点が必要です。

その時に気をつけるべきは「私の時代はこうだった。」「自分たちはこうだった。」という意識を我々が辞める事です。

実は、とても多いのです。しかも、無意識レベルで言葉を発しています。自分たちの時代の事を言っても始まりません。それに、ゆとり世代を育てた社会は我々の世代なのです。

上にあげたゆとり世代の特徴を理解するとともに、そのような環境で育てたのは我々世代だということを(たとえ、我が家は違ったとしても!)肝に銘じて、一流の自立人材に育てましょう。

そのために、ゆとり世代の新人育成計画は1年間ではなく、2〜3年の長期スパンで考えるといいでしょう。

③短期で即戦力にする教育方法もある。

長期で育成している余裕なんてない!という現状もあります。その場合は、採用時にゆとり世代という特徴の人は選ばない、ということと、短期でも即戦力に教育する方法がある、ということをお伝えします。

まずは、採用計画をしっかりと立て、自立した人材を採用するのが一番です。通常の面接だけでは見抜けないこともあるので、採用にもスキルが必要です。

次に、採用してみたら、まさに「ザ・ゆとり世代」だった〜。という場合もあります。長期で育てる余裕はない!という場合は、あり方(心構え)教育と実地教育を同時に実施します。

あり方(心構え)教育とは、『自分視点のみの考え方・捉え方』から『他者視点や優先すべき社会のルールなど』を、ただ知識としてではなく行動に落とし込める教育を指します。個人面談での、ゆとり世代新人の具体的な場面を取り上げ、考えさせる対話の積み重ねが有効です。

実地教育とは、主にOJTを指します。OJT(On-The-Job Training)とは、実際の業務を通して上司や先輩社員が部下の指導を行う、主に新入社員育成のための教育のことです。

・身につけてほしいスキルを明確化し共有する。

具体的に業務上必要なスキルを明確化し、得意なスキルを伸ばす方向で苦手な部分も克服していきます。

ゆとり世代は自分視点しかないので、あやふやなことを汲み取ったり理解することが苦手です。その一方で、明確なことを一つづつこなしていくのは得意です。

・OJTと研修と個別面談を同時進行する。

質問や相談が苦手なので、OJTだけでは、教育に時間がかかるのがゆとり世代。

しかし、座学で知識を学ぶのは好きなので、必要に応じて研修を取り入れます。

また個別対応の面談を定期的に入れることで質問や相談ができ、どこでつまづいているのか?何に悩んでいるのか?把握できます。また、社会人として必要な、あり方(心構え)についての対話を深めます。面談者は内部でも外部でもいいのですが、心を開いて信頼関係を築けるスキルのある人が望ましいです。

・育成計画をきめ細かく立て実施する。

大きな目標(本人にとってメリットを感じるキャリアビジョン)をまず提示します。その目標を達成するために必要な小さな目標を立て、着実にこなしていくのが効果的です。

各々の成長速度に合わせた、ゆとり世代新人の1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後の育成目標(何を理解できて、何ができるようになったらよいか?)を立てます。

小さなステップに分け、達成すべき事が明確に可視化し、小さなことから本人が達成感を得られるようにします。具体的であればあるほど、指導効果が高く出ます。

ゆとり世代の新人を短期間で育成するためには、細かな育成計画や習得すべきスキルの明確化や指導スキルのある教育者が必要です。

本来、とても真面目で失敗を恐れる特徴のあるゆとり世代新人ですから、その人にあった、きめ細かい教育を実施することで短期で成長し即戦力にすることができます。

まとめ

ゆとり世代が悪いわけではなく、社会全体がゆとり世代を生み出している。だからゆとり世代を社会に貢献する自立人材に育てるのは我々の役割です。また、この状況を良く解釈するならば『人を命令や指示などでコントロールして動かす時代は終わった。』というメッセージなのかもしれません。

さて、書くと簡単に思える3つの教育方法も、いざ実践するのは、なかなか大変です。

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