職場の派閥争いを今日でストップさせる方法
派閥争いの解決方法を過去の福祉施設の事例に沿って解説します。
上記の動画内でも解説しています。ぜひご覧ください。
女性社員同士による派閥争い
メインの人物は、介護士5人:看護師3人。
集まってもらった会議室は不穏な空気が流れていました。
どの顔にも
「外部の人間がポンときて、何がわかるのよ」
「知らないくせにジャッジしに来たの?」
などの不満や不安な表情が浮かんでいました。
なので、私は最初にこんな話をしました。
どちらが『いい・悪い』を見極めるために来たわけではありません。
どの感情にも必ず『理由』があります。
皆さんは、その『理由』の部分をお互いに誤解しあっているだけだと思います。
私は、その誤解を解くために、今、ここにいます。
争いの原因は感情の中にある
話し合いの前に、共通理解を得るために感情についてのミニ講座をしました。
お伝えした内容をまとめると。
自分から沸き起こる感情には、必ず理由がある。
強い怒りや違和感といった感情も、すべて大切にするべきもの。
誰の感情も否定することはできないし、するべきでもない。
なぜなら、感情の奥には、必ず『理由』があるからです。
その理由は、まだ言語化すらされていないものなのです。
その理由を取り出して言語化する。その理由の部分で理解し合えば必ず人は繋がり合えるのです。
という内容です。
自分をのことを決して否定されない、と信じてもらえたためか、講義を興味深く聴いてくれました。
この最初の共通理解がアイスブレークの役割も果たし、その後の展開では積極的にご参加いただけました。
各々の想いを吐き出させる
それぞれの派閥をAチーム、Bチームとしましょう。
それぞれ、言いたいことを言ってもらうのですが、ルールは一つだけ。
主語を「私」「私たち」にすること。
自分が、どう考え、捉えているかを話す場です。相手をジャッジする場ではありません。
まず最初にAチームの話を聞きます。
話の途中でBチームが色めきだつ場面もありますが、後で好きなだけいう機会があるので、今はまず聞きましょうと諭し、話を聞きます。
次にBチームが話します。
同じようにAチームが色めきだつ場面もありますが、後でいくら反論してもいいとなだめて聞きます。
その後、交互に・・・
お互いに言いたいことがなくなるまで、自分の思いを表現する場を作りました。
お互いに刺激や触発をし合いながらも、言いたいことはすべて表現してもらいました。
言い尽くして満足するまでです。
そこで、やっと相手の言葉が入ってくるようになります。
実際には言葉が聞こえているからこそ、感情が反応して色めき立つのですが。
それは自分視点の聞き方なのです。
「やっと相手の言葉が入ってくるようになる。」というのは、客観的に聞けるという意味です。
自分を表現できていない状態だと「自分を理解してほしい」という気持ちがいっぱいで、客観的に人の話が聞けないし、心のゆとりもありません。
お互いに、自分が言いたいことを思う存分言い尽くして、やっと「さて、相手は本当は何を伝えようとしているのかな?」と心にゆとりが生まれ客観的に聞けるようになります。
また、使っている単語や言葉が同じでも、人によって概念が違うので「この言葉はどういう意味ですか?」と言葉をチューニングすることも大事です。
そうやって、丁寧に話を聞いて「それは、こういうことで間違いないですか?」と、内容をまとめて確認していきます。
その確認作業の時に
「こういうことを伝えたかったんですね。」
「こういうことがあったから悲しい気持ちになったんですね。」
「なぜ、悲しさを感じたのでしょうか?」
「その時に、本当はどうして欲しかったのでしょうか?」
など、的確な質問でまとめていきます。
するとどうでしょう?自分の正しさを主張しあって一発触発の両チームでしたが、お互いを理解しようとする空気感になっています。
誰も間違ってはいない
自分と同じように、相手にも思いや感情がある。
たとえ捉え方や考え方は違っても、同じように思いや感情があるのは理解できる。
そして、自分の思いや感情を大切にしたいのと、同じように、相手もそれを大切にしているということも理解できる。
というように、お互いに自分の正しさを主張し「わかってわかって」と対立するのではなく、両方とも正しいと理解し合えたのです。
対立を鎮める時に「いい・悪い」思考に陥るとどこまでもこじれます。
コツは『全部正しい!』これに尽きます。
「全部正しいし、すべての感情も想いも大切なもの」
この軸をぶらさないことです。誰もが自分を尊重されたいのですから。
対話を終えてからの感想
私がやったことは、ただ話す場を作り、適切な質問で理解を深めただけ。
ただそれだけなのですが、対話を終えた後にこんな感想が出てきました。
◎態度に傷ついたし、馬鹿にされていると思い込んでいたけれど、本当は全く違うポイントでイラついていたんですね。確かに、そのポイントは甘かったかもと気づきました。
◎いちいちムカついていたけれど、本当は良かれと思う、思いやりの気持ちからの態度だったと理解できた。
◎その時に、思ったことをそのまま伝えたら拗れないのに、影で言って尾ひれがついて、こんなになっちゃうって本当に怖い!いつでも、その時にしっかり本人伝えようと思いました。
◎もっと、相手を信じたらよかった。勝手に悪く思い込んだり、どうせダメだろうって伝える前から諦めていじけていました。
◎自分なりには一生懸命にやっていたつもりでした。でも、プロフェッショナルな考え方に、私の方が甘さがあったことに気づき、勉強になりました。
◎いじわると思うこと自体が、仕事の上では幼い捉え方だった。見えていないことがまだあるのかも。
など、この対話を通じて多くの気づきを、それぞれが得たようです。
表面上の解決は意味がない。
さて、この仲裁方法は私が保育士をしていた時に。
他の先生のやり方に違和感を覚え、編み出した方法です。
『困った社員の育て方』という動画の中で、詳しくお伝えしているので、ぜひご覧ください。
簡単に説明すると、私は、先生が子どもの話を聞いてジャッジするのではなく、話す場だけを作りました。
すると、私が何もしなくても子どもは仲良くなりました。
- ジャッジは必要ないこと。
- ちゃんと伝え合えば心から納得して繋がり合えること。
それを何度も子どもたちは見せてくれました。
それに、表面だけで解決しても。
本人同士が納得できないだけではなく『自分たちで解決する機会の損失』と私は思います。
まとめ
今、会社でも家庭でも、社会には多くの人間関係の問題があふれています。
それは、表面だけを見て解決しようとしているからです。
だから私は、『感情の奥にある理由を伝え合うことで、お互いに心から納得し繋がり合える。』ということを、広めていきたいと思います。
弊社では、社内では解決が難しい人間関係の問題を本質的にすっきり解決しています。
どうぞお気軽にご相談くださいませ。